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snowmanさん (7j5166em)2021/7/26 09:27 (No.236878)削除「単なる老化の進行・・・」ですって・・・
同志からの手紙に、「単なる老化の進行で『本を読む・記憶する・継続する」ことがむずかしくなっています」とあった。(笑) そりゃそうだ、年はとるもの。放っておいても時間は経ち、人間としての「老い」は嵩んでいく。だから…毎日、鏡を見るのだ。(笑) 「あかんよ、こんなジイジの顔をしていては」と自分を励ましながら…。
60歳になろうかというときに、同僚と「人の論文が読めなくなった」と話した。昔は容易に入って来た人の論が、入らなくなってきた。論文というものだけでなく、読書という部分も同じように変化した。ある意味、年を重ねた分だけ自分の経験に基づく「知」も強固になっていく。だから、総てが「既視感」のように思えて純粋に受け取れなくなる。幸いなことに65歳までは嫌でも修士論文・卒業論文を・・・読まされた。(爆) 「読めない」と言っている場合でなく、「読まざるを得ない」という環境下にあった。70歳までは、ゼミ指導の中で人の文章を読み続けた。少しズルくなって、通覧する中で短時間で論旨を読み取るという技を身に付けて対応した。結局は「読めない」と嘆くよりは、「読めなくなるのは当たり前だから、どう克服していくか」という課題解決に転じたということだろう。意地悪い立場で考えるなら、「どんな問題点・課題があるかを見出してやろう」という目的感を持った。他者の考えを受け入れるというより、己の考えとぶつけ合う中で発見しようとした。以来、「読む」ことは苦にならなくなった。
全くメモを取らず記憶していた人間が、メモを取るようになった。それも、携帯の「メモ」にいつも打ち込み続けている。携帯を使うようになって、一番ショックだったのは電話番号を覚えなくなったということか。ヒドイときは、自分の電話番号でさえ忘れる。(汗) 情報化に依存し続けたことによる副反応・・・反復習慣の欠如か。トレーニングすることが減って、習慣も記憶もおぼろになる。総てを書き留めるメモの多用も、同様の欠落に陥る。たから、メモはキーワードだけ…。「思いの総て」を打ち込んでしまうと、自分の中には抜け殻だけが残る。だから、キーワードだけを打ち込んで、見る度に関連項目を思い出そうとする。活用はするが、依存はしない。依存すると自分が失われる。
「継続する」はなかなか至難のこと・・・大体が根性なしで、すぐに諦めてしまう。(笑) 「こだわり続ける」という意思が薄弱で、すぐに投げ出してしまう。この掲示板も一緒だが、「今日一日、平凡な一日だった」と言えば、瞬時に終了する。書くことがなければ、書くことを探すのだ。当然、日々の書き込みに粗密は出来てくるが、続ければ内容も平均化してくる。保護者がよく言ったじゃないか…「あの部活を頑張る気持ちが、勉強に少しでも生きてくれれば…」と。無理な話だ…部活は「好きだから」やっているのだ。だから、「好きでもない勉強」に対する耐性がない。「別腹なんですよ~」とこともなげに言っていたが、「好きでないことを、いかに継続するか」は大きな課題となる。「書道なんかやっている人間は幸せな人間だ」と言い続けた。だって趣味が高じて(爆)職業になったのだから、これほど「お気楽で幸せな人間」はいない。だから…好きでもないことに対する耐性が全く養われないままとなる。世の中、自分の好きなことだけが溢れているか? いやいや、「好きでもないこと」の方が満ち溢れているだろう? 自分が幸せだったのは、「好きでもないこと」に取り組まされたから。「なんでこんなことをやらなきゃならんの・・・」と呟きながらだったが、その経験が耐性を形成した。
過ぎて行く時間のままに流れて行くのでなく、どこに歯止めのクサビを打つか。どんなクサビを打ち続けるか。それが、「自分が自分であるため」に必要なことなのだけれどね。そんな話をしていると聞こえてくる…「あなただからできること」という言葉。そういう人を特殊化して自分を許そうとする人には、クサビどころかブレーキを踏む勇気すら生じない。流れ、流されて行くだけ…。それなら、愚痴ったり、悔やんだりしないこと。総ては因果応報の滅び・・・。
世阿弥の『風姿花伝』にも言うではありませんか…「このころよりは、おおかた、せぬならでは手立てあるまじ。麒麟も老いては駑馬に劣ると申すことあり。さりながら、まことに得たらん能者ならば、物数は皆みな失せて、善悪見どころは少なしとも、花はのこるべし」「能は、枝葉も少なく、老木おいきになるまで、花は散らで残りしなり」 結局は今までの人生で何を蓄積してきたか。それがあるなら、「花は散らで残りしなり」でしょう? それが、「自分が自分である」ことに他ならないのです。
大柄な一日花であるアメリカフヨウは散っても、かつて存在があったことを主張し続けています…。